体内にも存在する酵素とは?

 2020/12/07

「酵素」は、私たちの体の中で絶えずつくられていて、生きるうえで欠かせないものです。食べ物を消化したり、DNAをつくったりなど、あらゆる場面で酵素は大活躍。体内だけでなく、実生活でも、発酵食品をつくったり、衣類の汚れを落としたりするのにも酵素が使われているんです。最近では、ファスティングやプチ断食といったダイエット法に「酵素ドリンク」を取り入れる方もいますよね。そこかしこに存在&利用されている酵素とは、いったいどういうものなのでしょうか。

体内にも存在する酵素とは?

酵素はとても優秀な「鍵」

「お米をかむと、唾液の消化酵素で甘くなる」ということを聞いたことはありませんか。これは消化の一環で、デンプンはブドウ糖、たんぱく質はアミノ酸、脂肪は脂肪酸とグリセリンに分解されて体内に吸収されます。この分解に一役買うのが酵素というわけです。

でも、この分解にはちょっと不思議な点があります。
酵素は、どんな食べ物でも必ずブドウ糖やアミノ酸などに分解するわけですが、決して分解する場所を間違えないんです。デンプンであれば、必ずブドウ糖とブドウ糖がくっついている箇所のみを選択して分解するわけです。そして、ブドウ糖をそれ以上分解することは決してありません。

これが酵素のすごいところ。
酵素は、実はものすごく精密な形をしていて、目的とする反応だけを起こす役割があるんです。
たとえるなら、「鍵」と「鍵穴」の関係。デンプン(鍵穴)を分解する(鍵を開ける)ためには、デンプン専用の鍵が必要ですよね。その鍵が酵素ということです。
ちなみに、酵素は体内に数千種類あるといわれています。数千種類もあるのに、特定の鍵穴にしか反応しないなんて、酵素ってすごいですね。

この酵素のはたらきは日常生活でも利用されています。
たとえば納豆。納豆は大豆を納豆菌で発酵させた食べ物ですが、そのときに役立つ酵素がナットウキナーゼ。納豆菌は、大豆を発酵する過程でナットウキナーゼをつくり、それが大豆のたんぱく質を分解して独特のネバネバを生み出し、納豆にしていくんです。
シャリアピン・ステーキという日本特有のステーキ料理も、酵素の力を利用したものです。タマネギにはたんぱく質を分解する酵素が含まれていて、タマネギのみじん切りに牛肉を漬け込むことでたんぱく質が分解され、牛肉がやわらかくなるんです。

「鍵」と「鍵穴」

体内の酵素には限りがある?

健康や美容に興味のある方のなかには、「人の体には、生まれつきつくられる酵素の数が決まっていて、年齢とともに酵素の数が少なくなる」という話を耳にしたことがある方もいるのではないでしょうか。
これは科学的根拠のない話。体内における酵素は、酵素をつくる遺伝子によって個々に制御されており、酵素の数に上限があるということはありません。

ただ、人によっては生まれつき特定の酵素をつくる力が弱い方もいますし、年齢や体調によって産生量が減少する酵素もあります。
たとえば、乳製品に含まれる乳糖を分解するラクターゼという酵素は、年齢とともに産生量が減るといわれています。そのため、高齢者では乳製品を摂ると下痢を起こしやすくなるということがあります。

サプリメントやドリンクの「酵素」は酵素ではない?

お店や通販などで「酵素サプリ」や「酵素ドリンク」を見かけたことはありませんか。「酵素を摂って健康的な生活を」などの謳い文句がついていることもありますよね。実際に酵素を含んでいる商品はありますが、実は、体にとっては酵素を含んでいても含んでいなくても関係ないんです。

理由は簡単。摂取した酵素は、体内に吸収される前に消化酵素で分解されるためです。
酵素はたんぱく質の一種なので、酵素はアミノ酸に分解されてから体内に吸収されます。酵素を摂ったとしても、酵素のまま体内に吸収されることはなく、栄養分のひとつとして吸収されるというわけなんです。

そのため、「酵素サプリ」や「酵素ドリンク」は、体の健康や美容にうれしい栄養がつまった健康食品と考えていただければ間違いないでしょう。
ただし、ファスティングやプチ断食でよく使われる酵素ドリンクは、食事の代わりに酵素ドリンクで栄養を摂取するために、カロリー高めなことが多く注意が必要。
健康的にダイエットをしたいという場合や、健康や美容を意識した生活を送りたいという場合には、酵素サプリはもちろんですが、ふだんの食生活にキヌアやスピルリナなどのスーパーフードを取り入れて不足しがちな栄養素を補うのがよいかもしれないですね。

サプリメントやドリンクの「酵素」は酵素ではない?