【蒲池桂子先生の医食同源 2 】早寝、早起き、朝ごはんのすすめ

 2020/07/01

日本の小中学生および高校生は、夜更かし気味で、日中には強い眠気をこらえたまま授業を受けている子どもが多くなっているようです。第2回目は蓮池先生がおすすめする「早寝早起き朝ごはん運動」について伺ってみましょう。

児童・生徒の睡眠時間が短くなっているようですね。

はい、そうです。児童・生徒の睡眠時間は年々短くなり、問題視されています。とくに中学や高校では、50~60%の生徒が昼間から眠気を訴えて、授業に集中できていない状況もあるようです。授業中に眠くなるのは、習いごとや塾通いなどで帰宅が遅くなることのほか、スマホでのゲームや動画視聴などによって睡眠時間が減ることも要因ですが、単純に睡眠不足だけが原因ではありません。朝食をとるか、とらないかも、集中力には大きな差が出てしまうんですよ。

朝食をとらないと、どうなるのですか?

朝食を抜いてしまうと、脳のエネルギー源であるブトウ糖が不足し、脳のはたらきが低下するんです。私たちの体は寝ている間もエネルギーを使っているので、朝起きたときには脳も体もエネルギーが不足した状態です。そのため、朝食をとって、ブドウ糖からさまざまな栄養素を補給し、午前中から活動できる状態を作ることが大切です。農林水産省の平成30年度食育推進施策平成30年度では、朝食と成績の相関関係を調査しています。毎日朝食をとる子と、ほとんどとらない子との比較では、朝食をとる子たちのほうに成績の良い子が多かったということがわかりました。

なぜ、朝食をとらない家庭が多くなっているのでしょう?

理由としては、親の忙しさや家族内での生活スタイルの変化があげられます。農林水産省の「食育に関する意識調査」では、20~50歳代の3割以上の人が、家族でいっしょに食事をする時間を作ることが難しい状況であると答えています。一人で食事する子どもは、両親とのコミュニケーションが十分にできなくなります。朝食に限らず、食事のマナーや好き嫌いの改善など「食」を通じた社会教育ができない状況が増えてきているようです。

朝食をとらないことは、大人にとっても影響が大きいのでしょうか?

そうですね。大人は大人で、夕食の時刻が遅かったり、外食したりで、朝になっても食欲がわかず、朝食を抜いて出勤する場合なども考えられます。夜遅くに食べたものは、中性脂肪の増加に直接大きく影響し、いわゆる内臓脂肪のもとになりやすいのです。たとえば、同じエネルギーの食事をとるのに、「寝る前に食べるグループ」と「起きてから食べるグループ」とに分けて実験したところ、「寝る前に食べるグループ」のほうが太りやすいことがわかりました。寝ている間は起きているときよりも活動量が少なく、消費エネルギーも少ないため、余ったエネルギーがため込まれてしまい、太りやすくなるのは当然です。

朝食をとることを習慣づけるためには、どうすればいいですか?

大人も子どもも朝から体も頭もスッキリ元気に過ごすためには、まずは規則正しい睡眠をとることが大切です。子どもたちの基本的な生活習慣を整えることが、学習意欲や体力、気力を高めるうえで重要だという認識をもってもらうため、文部科学省提唱の「早寝早起き朝ごはん」運動を2006年から続けています。

サラダを食べる少女

蒲池 桂子先生 プロフィール

女子栄養大学 栄養クリニック教授
管理栄養士、栄養学博士、日本病態栄養専門士
女子栄養大学栄養学部栄養学科栄養科学専攻卒業。
東京慈恵医科大学内科学講座勤務を経て2000年博士号(栄養学)取得。
2003年4月女子栄養大学栄養クリニック主任に就任。

栄養クリニック営業管理、生活習慣病栄養相談、企業向け栄養コンサルティングを行っている。
(連絡03-3918-6181)

【著書】
糖尿病性腎症の病態に基づいた栄養管理・指導のコツ
編集, 宇都宮一典(担当:共著)
診断と治療社 2012年10月
メタボリックシンドロームディクショナリー
大野誠, 津下一代(担当:共著)
診断と治療社 2009年7月
糖尿病性腎症の安心レシピ103
宇都宮一典(担当:共著)
弘文堂 2006年10月
栄養を知る事典
工藤英機(担当:共著)
日本文芸社 2006年10月
絶対酒飲み主義
新星出版 2002年10月

蒲池 桂子先生