世界で最も多く生産されている「藻類」スピルリナ

スピルリナとは、約30億年前に地球に誕生した緑の“藻”です。
顕微鏡でのぞくとクルクルっとしたらせん形をしており、その形からラテン語の”ねじれたもの”とか”らせん”を意味する”Spira”(英語ではSpiral)が語源になったと言われています。
スピルリナは50種以上の健康・栄養バランスをもつスーパーフードの王様とも呼ばれています。そのバランスに優れた栄養成分等が注目され、
など幅広い分野で利用されており、今では世界で最も多く生産される藻類に位置付けられています。

スピルリナSpirulina (Arthtrospira) platensis 分類学上の位置 藍藻類/紐子目/ユレモ科/スピルリナ属
スピルリナの発見と歴史
食品としてのスピルリナの歴史
1927年 | ドイツの藻類学者のドゥルピン博士がスピルリナを発見し命名 |
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1962年 | スピルリナがもつ豊富な栄養素に目をつけ、21世紀のたんぱく源の研究をしていたフランス国立石油研究所のクレマン博士がチャド湖からスピルリナを持ち帰り、たんぱく質としての研究を重ねる |
1963年 | スピルリナの栄養価について本格的な調査が開始 |
1967年 | メキシコ微生物会議においてクレマン博士がスピルリナを世界に紹介。ついで同年にエチオピアで開催された国際応用微生物学会の国際会議で「スピルリナはたんぱく質が豊富である点からも将来の食糧として注目されるべきものである」と紹介し、研究者達の注目を浴び、国連がスピルリナの栄養評価に動き出す |
1968年 | スピルリナが食糧源として日本へ紹介される |
長い食経験のあるスピルリナ
食品としての歴史は古く、フランス人ダンガードらは、1940年にアフリカ中央部のチャド湖東方にある村の市場で、チャド湖で収穫されたスピルリナが乾燥された状態で「ダイエ」という名前で売られ、食品として流通していることを紹介しています。
1967年11月には、エチオピアで開かれた国際応用微生物会議でその優れた栄養成分に関心が集まりました。その後、食品としての利用研究が進み、現在は管理された人工池で大量培養されています。
現在スピルリナは健康食品として、日本をはじめ米国、欧州、オセアニア、アジア各国の人々の健康管理に役立っています。
スピルリナってどこで育ってるの?
スピルリナの生育する湖は、高温・強アルカリという他の動植物が繁殖しにくい特殊な条件の下で、強い太陽光線をあびて育ちます。
『スピルリナの生育条件』
- 1) 強い太陽光線
- 2) 強アルカリ性の湖
- 3) 水温30~35度

これらの条件を満たす湖では他の微生物はとうてい住むことが出来ず、またこれらの条件を満たす湖は特定の場所にしか存在しません。そのために、スピルリナの発見が遅れたのでは、と言われています。
現在、スピルリナの自生が確認されているのは主に熱帯地方の湖です。
この条件を満たしているのは、チャド湖(チャド共和国)、ヨアン湖(チャド共和国)、アランガディ湖(エチオピア)、チルチェ湖(エチオピア)、エレメンティア湖(ケニア)、ルドルフ湖(ケニア)、ナクル湖(ケニア)、ナトロン湖(タンザニア)などのアフリカの湖及び、フッカチナ湖(ペルー)、テスココ湖(メキシコ)などが知られています。
こうした特殊な生育環境では、雑菌などは住みつきにくく、それがスピルリナが今まで絶えることなく生き続けてこられた理由のひとつとも言われています。
動物も喜ぶ!?スピルリナ
東アフリカの湖のスピルリナは、世界最大数のピンクフラミンゴの生命を支える食糧源となっています。ピンクフラミンゴがピンク色をしているのは、スピルリナに含まれるカロテノイドという色素が関連しているのです。
実際、ピンクフラミンゴにみられるように、スピルリナを飼料に使うと金魚や錦鯉のうろこの深紅色がよりきれいになり、さらに、稚魚の死亡率を下げるとも言われており、今では鯉の品評会などに入賞するためには欠かせない栄養源だと言われています。
そんなことから、スピルリナは人間だけではなく動物にも嬉しい食品といえるでしょう。
